
※写真はすべて2023年7月のものです
前回のウボンラチャタニ編に続き、今回は兄の奥さんの実家があるブリラムへ。
兄は「ここに一生住みたい!」というほどに、この地での生活を気に入っている。
実家では基本的に自給自足スタイルで、野菜や果物はもちろん、アヒルやナマズも飼育している。
とにかく自然豊かなブリラム。
ときには、庭に迷い込んだ大蛇を捕まえたり、アヒルがその大蛇に食べられてしまったり。。。
仕掛けた罠には巨大なオオトカゲがかかっていたりと、なかなかスリリング。
さてさて、そんな”ワイルドで楽しいブリラムでの暮らし”を、今回はのぞいてみたいと思います!
ブリラムは歴史・文化・そしてスポーツ愛にあふれた都市

タイ語で”楽しい街”という意味を持つブリラムは、タイの東北部のうちの一つで、カンボジアと国境を接した位置にある。
かつては東南アジア一帯を支配していたクメール帝国(※現在のカンボジアのもととなった国)の支配下にあったこともあって、「パノムルン遺跡」や「ムアンタム遺跡」などの史跡が数多く残っている。
またブリラムは”スポーツの町”でもある。
タイを代表するサッカーチーム【ブリーラム・ユナイテッドFC】のホームスタジアムとなっている「チャーン・アリーナ」は、2011年に建設され、近代的な建築でその美しい外観と、レストランやショッピングエリアなども併設されている充実した施設となっている。
そしてその隣にあるのは、2014年にオープンしたタイで唯一のサーキット場「チャーン・インターナショナル・サーキット」
MotoGPなど世界規模のレースが開催され、開催時は各地からモータースポーツ好きがブリラムを訪れ町全体が賑わいます。
大都会ほどの喧騒はないけれど、田舎町の素朴さと観光都市としての活気がちょうど良く混ざり合っている”楽しい街”がブリラムなのです。
行き方

バンコクからブリラムへの移動手段は以下の通り。
- 飛行機:ドンムアン空港→ブリラム空港所要時間は約1時間。
スワンナプーム空港からブリラム空港への直通はありませんのでご注意を。 - バス:ブリラム行きの長距離バスは、バンコク北バスターミナルから発着しています。
所要時間は約5〜6時間。
時間に余裕のある人は、外の景色をゆっくり眺めながら移動するのも良いかもしれない。


私たちはウボンラーチャターニから電車で移動しました。
2等列車の扇風機付きで、料金は1000円ほど。
ブリラムまでの所要時間は約3時間でした。
ブリラム駅


10:30頃ブリラム駅に到着。
駅周辺は小さな個人商店が並んでいたり、ホテルや、タイのコーヒーチェーン店”Café Amazon”もあります。


駅前の一角には「立ち食いミートボール」と書かれた屋台が立ち並んでいた。
これはブリラムのご当地グルメで”ルークチン”という。
ルークチンとは、魚肉や豚肉を練ってミートボール状にし、串に刺して揚げたもの。
それを甘辛いチリソースに付けて食べるのです。
食感は日本のかまぼこに近く、このチリソースがまた美味しい!私は魚肉ルークチンは少々苦手でしたが、豚肉ルークチンはどハマり。
BLACK PINKメンバーのリサがブリラム出身で、リサもこのルークチンが大好きなんだとか。
奥様の実家は森の中


ブリラム駅から北に30分ほど車を走らせました。
家に近づくにつれ周囲がだんだんと”いかにも”な田舎風景です。


小さな村落の中に目的地発見。
2日間お世話になる兄の奥さんの実家は、赤、青、黄色のカラフルな外観で、タイらしくてとても可愛らしい雰囲気でした。
ここではお父さん、お母さん、お爺さん、そしてたくさんの子どもたちが暮らしています。


こちらが兄が”ビックマム”と呼ぶ義母です。
その異名に相応しく、この村内一帯を仕切っているとても面倒見のいいお母さん。


そして裸足で元気にサッカーをして遊んでいる子どもたち。
毎日近所の子たちがここに集まって、遊んだり一緒にご飯を食べるんです。よその子でも関係なく面倒を見るのが当たり前。


日本から兄の弟(私のこと)が遊びに来ているという噂を聞きつけ、近所の人がたくさん様子を見に来てくれました。


庭で伸び伸びと飼われているアヒルたち。そりゃ蛇にも食べられる。
しかしこのサイズを丸呑みにするのだから蛇の口はすごい。
お昼ご飯はカノムチン


みんなに挨拶を終えたところで昼食を用意してくれました。
これはタイ風そうめんで、イサーン地方の方言だと”カノンセン”という。
この麺は小麦からできている日本の素麺とは違い米粉で作られていて、モチっとした食感で優しい味わい。
これにスープをかけて、付け合わせの野菜と一緒に食べるのです。
美味しい!けど辛い!
イサーン料理はとにかく辛いが、これもまた激辛。
ブリラムの夕日は想像以上の美しさだった


午後からは子どもたちの写真を撮ったり、一緒に”セパタクロー”をして遊んでもらった。
もちろん裸足で。
無邪気に遊ぶ子どもたちの笑顔が本当に可愛い。
セパタクローとはタイの国技で”足のバレーボール”とも言われる球技。
3対3でネットを挟み、ボールを蹴って相手コートに入れます。
手や腕を使ってはいけなかったり、3回以内に返さなくてはいけないなどのルールがある。


「ブリラムでNo.1の夕日が見れるよ!」とのことで、さっそくバイクに乗せてもらい近くの湖まで連れてきてもらった。
運転するのは小学5年生の男の子。手慣れている。
日本なら考えられないが、ここはブリラムだ。ランドセルより大事なことがあるのだ。


橋に腰をかけ眺めていると、淡い紫からオレンジ、そして黄金色へ表情を変えていく空。
湖に反射して映る景色がとっても綺麗で、「ぅおぉ..」と思わず声が出た。


「ブリラムの夕日は特別だよ」
そう言われて来てみたけれど、実際に目にするとその言葉の意味がよくわかる。
ここに来て、この景色を見せてくれて、本当にありがとう。
晩御飯はみんな大好きムーガタ


こちらは”ムーガタ”といって、焼肉としゃぶしゃぶのいいとこどりみたいなタイスタイルの焼肉。
中央で焼いて食べてもいいし、スープが入っている部分でしゃぶしゃぶしてもOK。
甘辛いタレにつけて食べればもう最高に美味しい!!
兄のタイでの暮らしぶりを聞いたり、家族のことを色々教えてもらったりと楽しい時間を過ごしました。
日本人の兄がこの村の人たちに受け入れられて、そしてどんなに愛されているのかを知って、とても温かい気持ちのままこの日は就寝。
田舎の朝は早い


私は毎朝6時には起きる規則正しい人間なのですが、起きた時にはすでに兄たちの姿はなく。
一体何時に起きているのか?
自給自足で生活する彼らにとっては、日が登れば仕事開始の合図なのだ。


アヒルのお世話から始まり、義父と畑仕事や木を切ったり、「今夜の晩ごはんだ」と言って、大きな生簀から網でナマズを獲ったりと、汗だくになりながら午前中いっぱい働いていました。
「会社員時代より今の働き方の方がずっと自分らしい」と、楽しそうに笑っていた。




夕飯の買い出し


自給自足とは言ってもすべてのものをまかなえるわけではない。
買い物にも行く。
ここは地元民で賑わうローカルのマーケットです。


マンゴー、パイン、マンゴスチンなどの様々なトロピカルフルーツが売っている。


なんの調味料なのかはまったく分からないが、眺めているだけでも面白い。


日本ではあまり見かける事のないランブータン。毛が生えているようなコロッとしたフォルムがキモ可愛い。


見た目のインパクトが強いこちらは”サラ”という南国のフルーツ。
日本では見たことないですよね!


試食させてもらいました。剥くとこんな感じ。
少し甘くて酸味もあるけど、何に似てるとも言えない変わった味。
美味しい!とはならないけど、サクサクした食感が良きでした。
タイで運を掴めるか


タイの街中を歩いていると、至る所で見かける宝くじ売り場。タイ人はこれが大好き。
一攫千金を夢見て、皆本気なのだ。


私も試しに1枚100バーツで購入。
自分で好きな数字を選んで買うスタイルで、抽選は毎月2回行われる。
日本人でも買えるので、町で見かけたら皆さんもぜひチャレンジしてみてください!
ココナッツシェイク


ここは最高に美味しいココナッツシェイクの出店。”ナームマップラオ”
ナームが水、マップラオはココナッツという意味。
ちなみにここの店長の名前は”アイコイ”。タイ語で○玉という意味らしい。本当。
2日目の晩御飯は天然ナマズ


昼間に生簀から揚げたナマズを豪快に焼いていく。
「初めておじゃましたボクのために、こんなに用意してくれているんだ..」と感動していると、その顔を見た兄の奥さんが、「これはパーティーじゃないよ」と言ってきた。
私が「えっ?ちがうの?」と言うと、「そ!毎日BBQね」と楽しそうに笑っていた。
最高じゃないか。


ナマズの丸焼きをメインに、マッサマンカレーや空芯菜の炒め物など。
毎日このメニューを近所の子たちの分まで準備するなんて大変すぎる..と同時に、毎日さぞかし楽しいんだろうなぁと羨ましくもあった。


食後にお爺さんが、私たち兄弟にお祈りをしながら巻いてくれたこの白い紐。
木綿糸で出来ているこの紐は”サーイシン”といって、お守りのようなものらしい。
タイではお寺に行くと僧侶が祈祷後に手首に巻いてくれるそうで、また親や祖父母が子の安全を願って巻いてくれることもあるようです。
ブリラムを振り返って


たったの2日間だったけれど、とっても濃い、味わい深い2日間でした。
のどかな風景、裸足で駆け回る子どもたち、タイ人の優しさ、車座になって楽しむ食事、穏やかな時間。
観光地を巡る旅行も楽しいけれど、こうして“暮らすように過ごす時間”は、心にじんわりと染み込んでいきます。
ただその場の空気を吸って、人と話して、笑って、食べて。シンプルだけど、それが一番贅沢な時間なのかもしれません。
一生忘れられない旅です。